マーヤ婦人がルンビニー園のアショーカ樹の枝に右手をかけた時、右脇の下からシッダールタ太子が誕生したとあるが、ガンダーラの彫刻では右臀部から誕生している。
生まれる太子を受けているのはインドラ神(帝釈天)であり、上空では多くの神々が種々の楽器を奏でて祝っている。
ガンダーラの彫刻では一つの場面に時差のある出来事が描かれているのが特徴で、マーヤ婦人の前の子供はシッダールタ太子であり、生まれて間もなく七歩あゆんだという図である。
右端の菩薩像は画面の区切りの柱に彫られているもので、この場面と直接関係はない。
この菩薩像のあごとマーヤ婦人の鼻と額に一部修復の跡があり、太子の顔は無くなっているが、古代の作品としては、これほど破損の少ない太子誕生の場面はまれで価値のある作品である。
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