ご縁をいただいて
永澤寺二七四世 住職 渡邊義弘
   
   永澤寺の大観音さまは平成6年10月に開祖通幻寂霊禅師の600回大遠忌を記念してお迎えいたしました。
 平成2年が通幻さま本来の御遠忌の年となるのですが、同年に先住遷化のため当山では平成6年に600回大遠忌の法会を修しました。
 通幻さまは不幸にも母親の命と引き換えにこの世に出生されたのでお母さまの顔を見ることもなく、姿を知ることもなく成長されました。
 幸いにも通幻さまはお祖母さまに育てられましたがお祖母さまも7歳のときに亡くなられてしまいました。
 峻厳な修行で知られる通幻さまではありますが、通幻さまの母親に対する思いはいかほどだったでありましょうか。
 時にはお母さまのお姿を思い浮かべ、時にはお祖母さんに会いたいと願われたのではないでしょうか。
 この度の大遠忌にまだ見ぬお母さまを観音さまに、お育てになられたお祖母さまを地蔵さまのお姿に代えてご開山さまに捧げたい。この想いが両菩薩勧請の発願となりました。
 通幻さまにお母さまをプレゼントしましょう。当寺にお参りされる皆さんに声を掛けました。観音さまのお写経をして下さい。団体でお参りの法話の中でも奉納をお願いしました。
 私の願いは多くの方々の賛同を得、写経勧進というご協力をいただきました。5年間に寄せられた膨大な写経は木箱に納め観音さま、地蔵さまの躰内に納めております。
 通幻禅師の根本道場として沢山の禅僧を育成してきた永澤寺に大きな観音さまは似合わないかもしれない。しかし、沢山の信者さんにお参りいただけるお寺でありたい。
 仏教は縁を説く教えです。原因があってそこに縁の働きがあって結果が生まれます。よくこのように説明されます。花の種は日光や水という縁の力をいただいて始めて花を咲かすことができるのですと。
 沢山の方々が観音さまと佛縁を結んでいただくことができたと喜んでおります。そして私自身も縁をいただいて仏師渡邊勢山師と巡り合い、縁をいただいて写経をお勧めし、縁をいただいて両菩薩をめでたくお迎えできたのだと感じております。
 改めて、通幻寂霊禅師600回大遠忌にお力添え下さった方々、大観音菩薩、地蔵菩薩勧請にお写経をお寄せ下さった沢山の皆さまにあつく、あつくお礼申し上げます。
 そして、多くの縁をいただいたことに感謝しております。
合 掌  
 
 
永澤寺大観世音菩薩
 ◇大観世音菩薩造顕にあたって    大佛師 渡邊勢山師
 ご縁をいただいて    永澤寺274世住職 渡邊義弘
 
     
 
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